全国を代表して兵庫のイヌワシからひとこと

 ちゅーす、小生は兵庫の扇ノ山に棲むイヌワシなんやけど、全国のイヌワシを代表してちょっと小言を言わしてもらいます。おーいどーすんの、このままやったらイヌワシは絶滅してしまうで。

 イヌワシゆうのは山岳地帯に生息する猛禽類の最大種で天然記念物にもなってるのに、日本イヌワシ研究会の調査やと全国で生息するイヌワシは、わずか134つがい、未調査地を含めても300個体しか残ってへんと言われてるんや(日本鳥類保護連盟 1995)。昔はもっとおったのに何でこんなに減ったかというと、リゾート開発やダム建設,スギやヒノキの植林なんかで、イヌワシの棲んでたブナの森がどんどん減ったからなんや。

 イヌワシ1つがいのテリトリーは約6,000ヘクタールにも及ぶねん。だから森が減ったら行動圏は狭くなるわ、餌のウサギなんかも減るわで、雛に餌を持ってくるんが難しくなるんや。それにイヌワシの巣は断崖絶壁につくるうえに、人間への警戒心が極めて強いんで人の手が入ると繁殖をやめてしまうんや。そんなこんなでイヌワシの数はどんどん減ってきてるんや。

ところでてんぐて知ってるとおもうけど、あの正体はイヌワシやったという説があるねん。

 昔、農作業中に横で寝かしておいた子供が天狗にさらわれたという話がよくあるけど、それはイヌワシが連れてったということやねん。なにしろイヌワシは翼を広げると約2mにもなるんやさかい天狗と間違ってもおかしくないやろ。昔はそれだけ人里近くにも棲んでいたということや。

とにかくイヌワシにトキと同じ道をたどらせてはあかんということだす。

-参考文献-

日本鳥類保護連盟(1995)イヌワシ保護増殖基本計画策定調査報告書. 34pp.

Ecology Symphony(1998.5)に掲載したのものを一部修正。

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